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 急激に進む産業化の波に乗る者、それを拒み、旧来の伝統を守ろうとする者。

 その間で揺れる者……。

 権力や名誉、そして愛する者のために、貴族達もそれぞれの選択を迫られていた。
 王国の騎士団を統べるミハエルは、古き良き騎士精神を持ち合わせた男だ。

  急激な科学の発展に危惧しながらも、騎士道精神を受け継ぎ守り抜こうとする。

  そんな彼の心配をよそに、科学兵器や機械兵士の開発が着々と進んでおり、自信家の彼をしばしば苦しめた。  

  十数年鍛えた体と剣術のスキルを持ってしても、素人が持った火薬兵器に苦しめられてしまう。

  国からも銃器中心の軍備にシフトする為に、騎士団の規模縮小案などが出されており、理想と現実のギャップに苦しんでいる。
 そのハードランドで最も厚く保護されている、科学の研究者がサンジェルマン伯爵だ。

 生来優しい性格だが、才能に恵まれ、彼の研究成果のほとんどが破壊兵器などに応用されており、不本意にも「クリムゾン」と呼ばれるまでになった。

  だが、自分の研究が大量の殺人を犯していることに苦しみ、一介の純粋な研究者として一線から退いた。

  だが過去の貢献から国王の手厚い保護を受けており、ミハエルとは全く正反対の立場と言える。

  彼を再び兵器開発の現場に連れ戻すため、国家研究室が絶えず彼にコンタクトを取っている。
 ゲオリクは、医者として若くして才能を開花させた。

 王家の直属の医師になるはずだったが、妹リリスの療養の為、その地位を捨て、生まれ故郷ギュントリンクで暮らしていた。

  ゲオリク自身は、王家とのつながりや名誉に興味がなく、ただ自分の愛する者への想いと、真理の探究のために日々を捧げている。

 自分の研究の為ならば、どんな犠牲も厭わない、屈強な意志の持ち主だが、時として誰にも止められない暴走を起こす事もあった。
 シルフィーの侍女マリーンは、下級貴族の娘。ともすると時代の過渡期に翻弄されながらも、自分の運命を受け入れようとする。

  前時代的な騎士精神に邁進するミハエルに惹かれつつも、新しい時代に馴染もうとする。

  王室とのパイプ役として家からも重荷を背負わされた彼女もまた、制度の犠牲者でもあり、自分のための選択を迫られていた。
 
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