大規模な産業革命によって急激な成長を遂げたその裏には、犠牲になった数々の小国や民族の存在がある。
リリスの体を取り戻すため、錬金術の世界に足を踏み入れたゲオリクだったが、その錬金術さえも国家レベルで禁止されていた。
人々が結果の判りにくい呪い事に精を出すより、確実に結果を出し、経験や技術が無くとも強力な力を手にしたり、医薬品を大量生産出来る科学技術に傾くのは時代に流れとしては当然だろう。ただ、他の国よりも数世紀早くから科学を取り入れたのがハードランドだった。
近代的な医学や、科学兵器の研究者を国が全面的に援助していた。
国王ハードランド5世は、医学の力で難病を克服した一人娘シルフィーを、科学の恩寵で発展する国家の象徴として利用していた。
犠牲になっていった滅ぼされた小国、失われた技術から国民の意識を逸らす為に……。
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