宗像さんの刺すような視線。私は目を疑った。

「それは……!!」
 その写真に写っていたのは、私がジョーカーと2人でお茶をしていた現場だった。

 裏には、細字のマジックでこう書かれていた。

“移り気なキミが、僕を忘れないように、送ります。愛をこめて、JOKER”

「な……!!」
 私は、頭をいきなり乱暴になぐりつけられたような気分だった。

 でも、ジョーカー自身が撮って送った構図じゃない。
 少し離れた場所から、誰かが撮ったのだろうか。

「これがさっき、この寮の玄関に投げ込まれていた。宛名もなく封も開いていたから、一応中を改めさせてもらった。  お前、心あたりがあるだろう?」
 ドクン、と私の心臓が跳ねた。

 これは罠……?

 さっき出会ったばかりの男の子とのツーショットを、すぐにこんな写真にして突きつけるなんて、用意が良すぎる。

 道に倒れていたところを助けてくれた少年。

 謎めいた悪魔の気配……皆に隠していたわけじゃないけれど、すごく後ろめたい。
 だけど今、宗像さんにだけは、正直に話すべきだろう。隠したら、余計後ろめたくなる。

 せっかく仲間になったのに……

「どうした、黙り込んで。その様子だと、身に覚えがあるようだな。」

「あの、その写真は確かに事実です。彼は、さっき道で倒れていた私を助けてくれたんです。それで……」

「どんな事情にしろ、聖職者として、こういううわついた行為に走るなど問題外だ。わかるな?」
 宗像さんが私の顔を覗き込む。

「すみません!」
 私は、アタマを下げるしかなかった。

「ふん、所詮、お前もチャラチャラしたそこらの女と同じか。もう少しマシなヤツだと思っていたが……残念だな。」

 宗像さんは、冷たい目で私を見ると、くるりと背中を向けた。

「そんなに街で遊びたいなら、これ以上ここに居させられない。エクソシストは聖職者の仕事だからな。」




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