「申し訳ありません。以後慎みます。」

「今回だけは、皆には黙っておいてやる。お前も2度と人に疑われるような行動はとるなよ。いいな?」
 宗像さんが、私に念を押したその時……

 ガシャン……!
 
窓ガラスが割れる音が響いた。
 ごく近くから、強い悪魔の気配がする。

(まさか……悪魔が学園に侵入してきたの!?)

 時計を見ると、26時ちょうど……悪魔たちが最も活発に動き出す「悪魔の時間」だ。

 私は 悪い予感に突き動かされて、廊下に飛び出した。

「宗像さん……!!今、学園内に悪魔の姿が!」
「わかっている!いいから、お前は中に居ろ!」

 宗像さんが外に飛び出した。

 深夜の教会の屋根に、見慣れぬ人影があった。

 髪を針のように逆立てた少年。
 さっき夜の街で一度顔をあわせた少年だった。

「アンタ……一体、何しにきたの?」

「さっきのあの写真はこのジード様が、バッチリ撮ってやったんだぜ?」
 針頭の少年が、ニヤリと笑った。

 宗像さんはサーベルを抜いて、その切先を少年に向けた。
「寮の窓ガラスを割ったのはお前か。」

 しかし少年は、そのくらいではたじろがない。

「ははは!お前がエクソストのリーダーか。でも、いくら悪魔の気配がしたって、オレは立派な人間だよ。いいのか、人間を斬りつけて?」
 私は宗像さんの前に飛び出した。

「宗像さん、下がって!この子には、強い悪魔が憑いてる……危険です!」

 しかし、針頭の少年は、ニタリとこちらを見た。

「教えてやんよ。この女はなあ、夜遊びもすれば、裏切りもする、腹黒い女なんだよ。」

「バカなことを!アンタのことなんて、知らないわ!!」
 そのとき。屋根の上に、もう一人の人影が現れた。

「やあ、マリア。さっきは楽しかったね?」

「ジョーカー……!?」 
 私は目を見開いた。

「ごめんね。またキミに会いたくなってさ。すぐに飛んで来たんだ。マリアも僕に会いたかった?」




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