次の瞬間には、黒い悪魔の残影は分解して消え去った。
ベッドに横たわる少女の病んだ表情も、ウソのようにおだやかになり、静かに寝息をたてていた。
間一髪だったけど、悪魔祓いは成功した。
……良かった。……次に目が覚めたらきっと、彼女は人間らしい生活にも弐れるんだ……そんな実感が湧いてくる。
「悪魔ウリエル。契約主マリアの名のもとに、汝を封ず。」
私はウリエルを封印すると力を使い果たし、倒れた。
「マリア、大丈夫か!?」
宗像さんや、水鏡さんが私の視界の一部で、私をのぞきこむ。
「はい。全然平気ですよ……!」
私は、今できるせいいっぱいの笑顔を浮かべて応えた。
依頼人の男性が、すまなそうに頭を下げる。
「すまない。娘と同じくらいの年の君たちにすがるのには抵抗があったんだが……ありがとう。」
既に、私の視界はほとんど闇だった。その狭い視界の端に、死人のように白い手が見える。
それが、自分のものだと気づく前に、私は意識を失った。
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「こんなの、間違っています!エクソシストが、悪魔の力を信じているなんて!」
水鏡は、依頼人の屋敷の客間でエフレム神父に抗議した。
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