「悪魔ウリエルに命じる。封印を解き、私に力を!」
私の命を受け、悪魔ウリエルがその凶悪な姿を現す。
黒い霧をまとって、闇の中からニヤリと笑う。
「おい。マリアを追い詰めて気が済んだか、変態?」
「貴様が悪魔ウリエルか……僕は天使オリフィエルの天啓を受け、その加護を受けるエクソシストだ。今こそ貴様の息の根を、この手で……!」
「クク……青いな。もし、お前の強引なエクソシズムが失敗したら、マリアは死ぬ。マリアから、オレを引き離すことはできないからな。」
「ふん……悪魔め、そんな言葉には惑わされない!」
「悪魔のオレでさえ、マリアを生かし、助けているのに、人間のお前は、正義を唱えて人を殺すのか?」
ウリエルの両腕は私を庇って、闇に包む。この状態で、日和から私の姿は見えなくなる。
「消えた……どこだ!?」
温室の中を見回した日和のわき腹に、強烈な一撃。
「うわあッ……!!」
バラの茂みにたたきつけられる日和が、白い花びらを巻き散らす。
棘はさらに、小さな傷を作った。