「悪魔ウリエルに命じる。封印を解き、私に力を!」
 私の命を受け、悪魔ウリエルがその凶悪な姿を現す。

 黒い霧をまとって、闇の中からニヤリと笑う。
「おい。マリアを追い詰めて気が済んだか、変態?」

「貴様が悪魔ウリエルか……僕は天使オリフィエルの天啓を受け、その加護を受けるエクソシストだ。今こそ貴様の息の根を、この手で……!」

「クク……青いな。もし、お前の強引なエクソシズムが失敗したら、マリアは死ぬ。マリアから、オレを引き離すことはできないからな。」

「ふん……悪魔め、そんな言葉には惑わされない!」


「悪魔のオレでさえ、マリアを生かし、助けているのに、人間のお前は、正義を唱えて人を殺すのか?」
 ウリエルの両腕は私を庇って、闇に包む。この状態で、日和から私の姿は見えなくなる。


「消えた……どこだ!?」

 温室の中を見回した日和のわき腹に、強烈な一撃。

「うわあッ……!!」
 バラの茂みにたたきつけられる日和が、白い花びらを巻き散らす。
 棘はさらに、小さな傷を作った。

 




「ここだ。」
 日和が顔を上げようとすると、そのまま首の根を掴まれた。

 日和に食い込む、黒く鋭いウリエルの爪。

「うっとおしいガキだ……しばらく静かにしていろ。」

「やめろ……!!」
 ウリエルのツメが首筋をえぐり、日和に血の筋を作る。

「くそ……貴様など!!天使オリフィエルの力で!!」
 倒れた日和は目一杯手を伸ばすが、あとわずかのところで、聖書に手が届かない。ウリエルが、日和の手を踏みつける。

「く……ッ!!」

「おい、今ごろディーヴァを呼び出そうってのか?あんまりオレを見くびるなよ?」


「マリアを……どこへやった?」





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