「あー、めずらしく頭使ったからお腹すいた!マリア、遠慮しないで食べなよー?」
「あ、うん……」
キリトは、食事の時間にはイキイキしている。
「マリア。水鏡さんは、料理すごくうまいんだ。これなら男で生涯独身でもイケるよ。」
「キリト、もう少し他の言葉で褒めてください。」
水鏡さんが苦笑しながら、声をかけてくれる。
「マリア、遠くの国に来て心細いでしょうけど……私たちを家族だと思って、何でも話してくださいね。」
「ありがとうございます。」
「じゃ宗像、ケーキ切り分けてください。マリアの分を、一番大きくお願いしますよ?」
「あー、わかってる。」
水鏡さんに包丁を渡されて、宗像さんがケーキと、パンを切り分け、各々の皿に乗せた。
一つのパンを皆で切り分けることを、修道生活ではとても大切にする。
それで私たちは、家族のように近い存在になることができるんだって。
「……どうした、日和?食べないのか?」
食事中、ふと、宗像さんが手をとめた。
「……ええ。今日は少し体調が悪くて……」
「大丈夫か?」
「ええ。できれば今日は、少し早めに休みたいのですが……」
見ると、日和は全く食事に手をつけていない。
エフレム神父が日和を気遣って声をかけた。
「日和、具合が悪いなら構いませんが、今日はマリアの歓迎会ですし。休む前にマリアに一言かけてあげてくださいね。」
「ああ……」
日和は私に向かって、少し笑った。
「これからよろしく、マリア。おやすみ。」
「こちらこそ、よろしく。」
「日和、ケーキ食べとくから、心配すんなよー」
キリトは、日和の分のケーキにもう手をつけていた。
■Next (4/8)