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「だから、そんなに顔して泣くな。お前の醜い顔が、余計に醜くなるだろう」
ウリエルの大きな手が、ぐしゃりと私の髪を乱暴にかきまわした。
「相変わらず……酷いのね」
私は、雨の中で、少し笑った。
「でもこの雨なら、私が泣いてても、誰にもバレないですみそうね……」
その時。
「おい。学園の中で、悪魔を呼び出すとは非常識だな」
私が驚いて顔をあげると……そこには、赤い傘を持って、雨の中立ち尽くしている宗像さんの姿があった。
「宗像さん……!?」
「マリア……警告しておく。まず学園内で悪魔を呼び出すのはやめろ。たとえどんな事情でも、だ」
ウリエルは、宗像を一瞥した。
「お前みたいな人の心も持たない野郎に、何がわかる。」
ウリエルのツメが、宗像の頬を引っかく。
「痛ッ……何のつもりだ!?」
「ちょっとした仕返しだ。特にお前は気に入らない。」
そう言うとウリエルは小さなぬいぐるみの姿になって、ピタリと動かなくなった。
「一体、なんなんだよ……」
宗像さんは、引っかき傷を軽く手で押さえる。
そして雨の降りしきる中、私は宗像さんと2人だけになった。
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