3 断罪のマリア The Exorcism Of Maria


「だから、そんなに顔して泣くな。お前の醜い顔が、余計に醜くなるだろう」
 ウリエルの大きな手が、ぐしゃりと私の髪を乱暴にかきまわした。

「相変わらず……酷いのね」

 私は、雨の中で、少し笑った。

「でもこの雨なら、私が泣いてても、誰にもバレないですみそうね……」

 その時。

「おい。学園の中で、悪魔を呼び出すとは非常識だな」

 私が驚いて顔をあげると……そこには、赤い傘を持って、雨の中立ち尽くしている宗像さんの姿があった。

「宗像さん……!?」


「マリア……警告しておく。まず学園内で悪魔を呼び出すのはやめろ。たとえどんな事情でも、だ」

 ウリエルは、宗像を一瞥した。

「お前みたいな人の心も持たない野郎に、何がわかる。」
 ウリエルのツメが、宗像の頬を引っかく。

「痛ッ……何のつもりだ!?」
「ちょっとした仕返しだ。特にお前は気に入らない。」

 そう言うとウリエルは小さなぬいぐるみの姿になって、ピタリと動かなくなった。

「一体、なんなんだよ……」
 宗像さんは、引っかき傷を軽く手で押さえる。

 そして雨の降りしきる中、私は宗像さんと2人だけになった。




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