「往生際が悪いですよ」
「言われなくてもわかってる…っ。ったくよ〜…昨日も今日ももうちょっとってとこだったのに…!!」
離しやがれっ

首根っこ掴むその手を振り解こうと俺はもがいた。
でもその拍子に…
「…ッ…」
「…へ？…なッ」
リュースが一瞬息を詰めるのと、俺の爪に嫌な感触。
急いで視線をやればリュースの指に一筋の……
「わ、ワリィッ…大丈夫か?!」
「……平気です、このくらい。…ダッシュ…ッ?!」
じっと見つめればじわりと滲むその鮮やかな赤に俺の方がなんだか痛いような気がして…
リュースの返事を待たず俺はその手を取って唇に押し当てた。
「……ッ」
手を引こうと力を籠めたリュースの手を無理矢理掴んで離さず、俺はそのままじっとしていた。
リュースは諦めたようにひとつ息を吐いて、
「……貴方みたいな犬にいきなり指に食いつかれたらそれこそ食べられるんじゃないかと思うでしょう？」
「…ッテ…」
スコン、と頭をやられて手を引かれる。
ちらりと様子を窺えば……
（あれ？リュースの奴照れてんのか？…ほっぺが赤い…）

「さ、もう寝ますよ。貴方を探し回ったおかげでだいぶ体が冷えました」
リュースは言いながらさりげなくベッドの片側を空けて俺に背を向ける。

お〜…旦那の膝は無理だったけど…今夜は…、これはこれでかなりいいかもしれないな♪なんちゃって…。

「お、お邪魔しま〜す」

ぬくぬくの夜はやっぱりたまんねぇなｖｖ
よし！明日こそは旦那の膝を…いやいや、添い寝をゲットだぜー!!
……でも、今夜はリュースにぎゅぅｖってな…へへｖ

「……どこ触ってるんですか（ツネッ）」
「アイタッ」

そんなこんなで、ドタバタとありつつもハードランドの夜は今日も変わらず更けていくのであった…マル。